中長期トレードの本気銘柄。バリュー&グロースの目線で1銘柄に絞りました。
なぜこの銘柄を今なのか・・・分析してきた内容と今後の予想を記します。
ちまちまとスイングでシノいできた半年間。その準備期間を経ていよいよ勝負手を放ちます。
負けても本望。行ったれ!
当ページは4月に記事を書き、ぼちぼち修正・追記して7月に公開予定でいたのですが・・・
材料が出ちゃいましたので急遽公開することにしました。
7月向けの文章で中長期目線の構成となっていますのでそのへんはご理解くださいw
6093 エスクロー・エージェント・ジャパン
不動産取引における売買契約から取引決済までの分断されていた手続きを集約(BPO事業)
また、集約された大量の取引事務を支援するサービス(エスクローサービス事業)を展開している企業です。
まずはネガティブなことイロイロ
-
達成できるか怪しい通期予想
この点については、個人投資家と機関投資家とでは認識の違いが発生しているように思えます。
ネット上での反応を見わたすと、個人投資家は会社が出している業績予想は控え目と楽観的に捉えているようで、年度単位での業績推移が昇り調子であることから、本年度でも同様の傾向が継続し実績は上ブレると予測しているようです。
年度 売上 経常利益 2015年度実績 1,204 197 2016年度実績 1,687 403 2017年度予想 2,018 407 確かに近年の業績推移を見ると上り調子。
2017年度がこれまでと同様に成長するのなら多少控え目な業績予想かもしれません・・・
しかし直近のQ毎の業績推移を見てみると・・・↓
年度Q 売上 経常利益 2016年度1Q 431 143 2016年度2Q 417 120 2016年度3Q 389 77 2016年度4Q 450 63 売上は増加傾向かどうか怪しい状態ですし、経常利益の推移に注目してみると明らかに下落傾向が見られます。(営業利益もほぼ同等)
つまり、会社が出している業績予想の経常利益407を上ブレるにはQ毎の平均で102程度の実績が必要となります。
ところが直近Qで63しかないうえに下降気味である事から、ほんとに達成できるの?と機関投資家には懐疑的に見られているのではないでしょうか。
さらには本年度は本社移転に伴う費用+人件費増で前年度より約2億円の費用が余計に発生すると見積もられていますので、これをカバーする成長がなければかなり厳しい年度になってしまいます。
実際に2016年度本決算発表後の株価は低迷し積極的な買い手が見られない状況が続いています。
つまり現状は、
会社が出している業績予想は控え目だと楽観している個人投資家と
未達の可能性を見ている機関投資家との間で真逆の評価になっている状態だと感じます。
-
減速が予想されてるBPO事業
2016年2月期 決算補足説明資料の23ページによると、
BPO事業が-3%低下する見通しとなっています。売上の6割を占めていますのでこのBPO事業の減収減益は嫌な感じです。
経済対策終了の影響を受けることを想定しているようです。具体的にこの経済対策が何を指しているのかIR担当に聞いたところ「フラット35の金利優遇」との事でした。この優遇措置が終了し住宅ローン金利が上昇することにより不動産取引が減りBPO事業の売上減につながると想定されています。
-
新株予約権(ストックオプション)
行使価格1,398円の新株が40万株以上も発生。実に発行済株式数の10%以上もの割合となり株主からすると迷惑なハナシです。何のリスクもなくタダ同然でこの利益を得る人間が出てくるわけで、こいつらの為に買い上がる気にはなれないというのが投資家として当然の心理でしょう。
ざっくり計算して6億円以上が掠め取られるでしょう。時価総額50億円台なのに・・・
株主を食い物にしている身勝手なインセンティブであり非常に腹立だしい限りです。
-
急速な成長を望んでいない社長
社長の発言には、控え目で行きたいという感じが随所で見られます。
高成長はリスクを伴う・・・2ケタくらいの成長で留めたい・・・との事です。
理由があってのご判断なのですが、規模の小さな会社にはスピード経営・高成長を求める投資家が多いと思います。
鋭角的な成長を望む自分も非常に残念な印象を受けました。
リスクを軽減させる工夫を模索して高成長を目指してほしいものですし、
「留めたい」ではなく「慎重にかつ上を目指したい」的な表現だと印象も変わってくると思うのですが・・・
そんなこんなで安値放置・・・しかしとってもバリュー
上記のようなネガティブ系ガッカリ要素が沢山あるため現在のように株価が低迷しているのだと思います。
しかし、有利子負債はなく経営基盤は盤石で万が一に利益ゼロの業績になったとしても株価1000円(時価総額約40億)くらいの価値はある会社だと思いますので下値リスクはさほど感じません。
ここまで株価が落ちてきたとなると非常に割安水準にありバリュー株だと評価します。むしろ株価の低迷こそ投資チャンスと言えます。
気に喰わない所が多々あり見捨てられて株価が低迷するからこそ投資チャンスが生まれ、評価が一変した場合にその反動が大きく爆益となる。これは自分がこれまでに大きく利幅が取れたパターンとなっているセガール化銘柄投資法の基本的な考え方です。
セガールの期間長過ぎの図
ちなみに理論株価Web<6093>エスクロAJによると理論株価は1,767円となっており機械的に判断しても現在の株価はかなり割安水準のようです。
理論通りにいかないのが相場ですが、新興や規模の小さな銘柄は理論株価より上で推移するケースが多く、理論株価より下で推移しているエスクロー社はお宝株の臭いがプンプンします。
現在の株価であれば急激な地合いの悪化以外にリスクはないと見ます。
グロース的にどうか
-
ストック業務が増加
単発で終了するスポット業務は評価が難しいのですが、収益基盤を安定化させるストック業務が増加傾向となっておりどんどん積み上がってきています。この傾向が続けば将来も増収増益となりやすくなります。このストック業務が減少傾向に陥らない限りエスクロー社は成長し続けると判断します。
-
収穫期に入ったエスクロー事業
決算説明動画でも説明されていますが、いよいよエスクロー事業が鋭角的に伸びる見通しのようです。
2016年2月期 決算補足説明資料の23ページによると、売上5割増しが見込まれています。
-
エスクローサービスが不動産取引の常識として業態化できるかどうか
不動産の取引が簡単には終わらないことはご存じの通りです。
司法書士・土地家屋調査士・行政書士・税理士・一級建築士・不動産鑑定士等、多くの専門家が絡みます。
買いたい人・売りたい人にとってスキップさせたい一連の処理をエスクローサービスが担ってくれる・・・
エスクローサービスが不動産取引の常識的存在となりえる可能性を秘めていると感じます。
業界での認知度は決して高いとは言えない反面これからの伸びシロは大きく、ポテンシャルの非常に高いサービスだと言えます。
コンビニが当たり前に存在する世の中になったように、不動産取引でエスクローサービスが当たり前の世の中になる・・・社長の発言からこの状態をリアルに目指していると感じました。
-
東証1部への市場変更を狙っている
株式の立会外分売に関するお知らせ 市場第一部への市場変更における形式要件である株主数の充足を図るとのこと
-
不動産のネット取引
同社にとってド真ん中の材料となりえます。
エスクローサービスとネット取引の親和性は非常に高く、これから将来的に不動産がネットで取引される事が当たり前になった場合に、エスクローサービスが業態化する可能性を秘めていると感じます。
ネット取引の場を作る方針だと意欲的な姿勢を見せていますので楽しみです。
-
フィンテック
決算説明動画内でも何度か触れていますが、不動産取引にフィンテック・ブロックチェーン・ビットコイン取引といった事を日本で一番積極的に商品化に取り組むと表明されています。
熱いジャンルであるフィンテックに不動産の分野からエスクロー社が出てくる・・・具体的になってくると面白そうです。
んで、出てきましたよ! 2016.05.18
株式会社 Orb とのブロックチェーン技術を活用した不動産取引に係る 認証及び決済システム等の調査研究開始に関するお知らせ
↑この材料が出てきたため7月の公開を2ヶ月前倒ししてさっさと公開することにしました。
これをキッカケにエスクロー社がフィンテック関連銘柄として注目されるようになる可能性がでてきました。あくまで中長期目線ですので目先の値動きに翻弄されるのは避けたいのですが、この材料で上昇トレンドが形成されたら理想的かなと思います。
-
不動産テック
このところ「不動産テック」なる言葉がぼちぼち出てくるようになりました。フィンテック銘柄の物色が一通り落ち着き不動産テックというジャンルに注目が集まった時には一相場ありそうな予感です。
フィンテックといえばインフォテリアやさくらだったように、不動産テックといえばエスクローとなると予想します。
不動産テックとは?FinTechに続く大改革
フィンテックの次は不動産テックが到来か?
「フィンテック」に続く「不動産テック」とは何か?
どうして今勝負なのか?
-
マイナス金利
ズバリ!マイナス金利により業績が激変している可能性に賭けてみたいと考えました。
マイナス金利により各銀行はダブついた資金を積極的に融資・投資等にまわすより他なく、否が応でも不動産売買が活発になると思います。
事業融資では事業が失敗した際に回収できませんが、不動産売買への融資は不動産を担保に取れますので銀行側としても、大きなリスクなく融資できることから、必然的に不動産売買を後押しすることになるでしょう。
そういった流れはREIT市場に素直に反映されており、マイナス金利直後から堅調に推移しています。となるとマイナス金利による恩恵をエスクロー社も受けている可能性が高いと予想します。
また、BPO事業が下火になるとの会社側の試算は、あくまで経済対策(フラット35の金利優遇)の終了の影響(金利上昇で取引減)が出るとの見通しです。ところが急遽サプライズ的にマイナス金利が始まり、フラット35等の住宅ローンの金利は軒並み下がっています。つまり金利が上がるという前提が崩れています。
ということは、会社側の試算は良い意味でハズレで、むしろ業績拡大となっている可能性が高いのではないでしょうか。
ちなみに、2016年2月期 決算補足説明資料内にマイナス金利の文言は一切なく、マイナス金利の影響を考慮せずに作られた業績予想だと思います。
マイナス金利により起こった「銀行融資活発化」も「住宅ローン金利低下」もどちらもエスクロー社にとっては追い風のはずです。ニュース
マイナス金利の不動産への影響は悪いニュースも良いニュースも存在し憶測が混じった記事が多い為、事実だけを抜粋し業績への影響を考察したいと思います。
悪いニュースの中にはマイナス金利を不動産崩壊と批判しつつも「銀行のローン窓口には客が殺到している」「住宅ローン市場が盛り上がっているのは事実」とあり、この状態こそ手続きの数量増加によってエスクロー社に特需が発生する要因になっているように感じます。- 悪いニュース
マイナス金利なのに「不動産崩壊」が始まっていた~黒田総裁の楽観論に要注意!
不透明さを増す不動産市況 - 良いニュース
マイナス金利一時-0.125%に。GWの住宅市場に追い風が吹く
フラット35、金利最低に=住宅機構
住宅ローンの借り換え、3.6倍に 金利過去最低で急増
- 悪いニュース
-
立会外分売は自信の表れ
東証1部への鞍替えを目標とした立会外分売というのは良くあるハナシですが、この適時開示が出てきた時期(2016.05.11)に注目します。足元の業績が低迷しているのであれば、東証2部に上がったばかりのこの時期に東証1部への鞍替えを明言できるでしょうか? 非常に慎重な印象を受ける社長がこの時期に動いてきたとなると、この時点で業績の向上に手応えを感じているように思えます。
マイナス金利特需でウハウハ状態の心躍る様子が伝わってくるようです。(注:勝手な憶測です)
-
1Qでの上方修正
上記マイナス金利の影響をモロに受けていると思われる月の業績が数字として表れてくるのが1Q(3月~5月)ですのでココに照準を合わせます。
ちなみに前年度は1Qの決算発表(2015.07.10)と同時に通期の上方修正がありました。
思惑通りマイナス金利の恩恵を受けているのであれば、本年度も前年度と同様に1Qの決算発表と同時に上方修正があってもおかしくないと予想しています。
いったれ!
追記:答え合わせ
スタート127.63円(分割前1276.30円)→ 高値796円 6.23倍
ご無沙汰しております。
分析記事とても勉強になります。ありがとうございます!
以前、セガール銘柄としてコメントさせていただいてから2月に一時1000円割るなど、厳しい展開だったエスクローもついに注目される展開になって嬉しいかぎりです^^
ちなみに今期業績に関しては、私も多少、楽観視してみています。
直近の決算説明会動画でもそうですが、社長が上場直後の下方修正を未だに気にしており、上場企業としてあってはならないという発言を以前からされています。
そこまで言ってる社長が達成が厳しい計画を立てる可能性は低いと思うので、現状の数字は万が一業績が下ブレたとしても達成可能なガチガチ数字なのかなと思ってます。
ということで、私も同じく1Qからの上方修正を期待したいと思います!
saiさん、お久しぶりです。
その節はお世話になりました。
今回の材料をキッカケに上昇トレンド入りしてくれたらいいですね。(セガール化して長いですのでw)
まあしかし、目先の材料がどうであれ業績に期待する方針には変わりなく、1Qで出てくる数字を勝手に楽しみにしています。
この手の銘柄は業績の裏付けがあるホンモノに育ってほしいものですね。